久々の点検入庫
1年経過時のレポートでも書きましたとおり,いちばん気になっているのはブレーキパッドの残量です。ちょっと時間があったので,タイヤを外して確認してみました。
私の車も順調に距離を重ねています。30,000キロ突破後,定期点検を促す「InSP」のサインが点灯したままになっているのですが,様子をみながら点検入庫を引き延ばしていたら33,000キロも目前になってきました。
乾坤一擲
5月23日に富士重工より新型レガシィが発表されました。純国産車なのに国産車らしからぬ評価を受けている車として,車好き層の支持も厚く,それなりの販売量を維持してきたモデルです。実は本サイト作者も先代モデルの購入を考えていたことがあります(結局ザフィーラになったわけですが)。4代目にあたる新型モデルの実力を確かめるために近くのディーラーへ出向くことにしました。
詳しくはリンク先を参照いただくとして,簡単に車種構成を紹介しておきましょう。エンジンは2リットル4気筒一種類で,SOHC,DOHC,DOHC+ターボの3種類があります。後2者はATとMTでそれぞれ異なるチューンがなされていて,パワーで分けると全部で5種類が用意されていることになります。最強はDOHC+ターボのMT仕様で280ps,トルクは35kgmを驚きの2,400回転で発揮します。グレードは2.0i,2.0R,2.0GTの3つが基本で,それぞれSOHC,DOHC,DOHC+ターボに対応しています。GTには,大径タイヤやスポイラー一体バンパーなどを装備したspec.B仕様もあります。ちなみに,レガシィのスポーツモデルのシンボルともいえるビルシュタイン製ダンパーはGTにも装備されています。そういう意味では,今回の“B”は何のことだろうと思ってしまいます。
ディーラーに用意されていたのは3台です。うち一台は2.0GTの展示車で,2.0R(左側)と2.0GTspec.B(右側)の2台が試乗車として用意されていました。スペックBのほうはMT車です。はじめは実車を見てカタログをもらって帰るつもりだったのですが,ありがたいことにセールス氏が試乗をすすめてくださいました。もちろん断る理由もありませんので,買いかえる気はまったくないことを念押しして試乗することにしました。 2.0R(AT),GTspec.B(MT)の順に乗りました。左側がR,右側がGTのインパネです。GTの方は暗闇から浮かび上がるタイプのメーターが装備されています。最近の欧州車,とくにVW・アウディ系にもみられますが,照明には赤が多用されています。レガシィの場合も常に赤く光る部分が目に付くわけですが,私自身は赤のような刺激の強い色を常用照明に用いるのはいかがなものかと思っています。まあ,流行ということなのでしょうか。なお,タコメーターの目盛りはGTでも8,000回転までで,無意味に9,000あたりまで目盛ってある車よりはずっと見やすいですね。どちらもパワーに余裕があるのはいうまでもないのですが,GTの扱いやすさが特に印象に残りました。低速トルクは十分で,アイドリングスタートも可能です。パワーのあるMT車の方がパワーのないAT車より運転が楽だと常に思っているのですけど,市街地なら3速入れっぱなしでOKでした。もちろん,速さを求める層に対しても十分な訴求力があると思います。踏み込めば「ギューン」という感じ(ドカーン,ではない)で速度が伸びていきます。スバルの水平対向といえば「バサバサ」という感じのエンジン音だと思いますが,今回のモデルではかなり手が加えられているようで,1ランク上の車に乗っているような感じも受けました(一応,先代,先々代モデルの運転経験もあります)。水平対向だからうるさい,というわけではなかったんですね。
ブレーキはほとんど印象に残りませんでした。って,後から考えればこれはすごいことなんですね。試乗した限りではまさに「欧州車並み」の感覚や効き具合を実現できていたと感じました。ホントに違和感がなかったなぁ……
両者とも45扁平のタイヤをはいています。Rのほうが215/45R17,spec.bのほうが215/45R18になります。面白いことに,spec.Bは扁平率を下げる「インチアップ」をしているのではなく,タイヤそのものの径が大きくなっているのです。なお,径が大きくなっている分,spec.Bではファイナルのギア比が低くなっています。このことが関係しているのかもしれませんが,両車の乗り心地に大きな差は感じられませんでした。ダンパーが異なりますので若干spec.Bのほうが固めではありますが,見た目ほどスパルタンな感じはしません。新しいチューニングの方向性なのかなと思ってみたりします。
帰ってきたあとで,改めて使い勝手を調べてみました。写真はspec.Bの方です。こちらにはパワーシートが装備されています。Rの方はザフィーラと同じタイプのシートリフターがついています。どちらもポジションは問題なく決まります。ただ,ハンドルの前後調整がないのと,上下調整幅がやや狭い(とくに上の方)ことが気になるといえば気になるでしょうか。なお,前回のモデルで導入されたフロントシートのフルフラットは今回廃止されました。それによってシートバックの長さに余裕が出てきたわけですが,シートの大きさこそが快適性や安全性の鍵を握っていると考える当サイトとしては「英断」として高く評価しなくてはならないと考えています。 後ろにまわってテールゲートをあけてみました。今回からアルミ製になっているそうですが,言われるまで気が付きませんでした。確かに,ザフィーラよりは軽かったですけど……。面白かったのはトノカバーとテールゲート内張の間を埋める矢印のパーツで,真ん中に反射材がついていて後続車に注意をうながすようになっています。こういう細かい工夫は評価したいと思います。 後席チェックです。シートバックを最も立てた位置ではシートベルト装着に問題はありません(1)。しかし,最も寝かせた位置では肩にかかってしまいます(2)。正しい装着位置(青)との差がよくわかると思います。これでは,衝突の際には上体がベルトをすり抜けることになるでしょう。今回のレガシィでは,シートベルトアンカーがピラーではなく荷室窓の下辺についているのですが,リクライニングと上体拘束を両立させるためには,アンカーを後方に移動できる機構が必要になると思われます。ピラーにアンカーがないおかげでベルトはすっきりと格納されているのですが,もう一工夫欲しかったようにも思います。リアシートのリクライニングをやめるわけにはいかないでしょうから……なお,ベルトのキャッチ部分はシートに埋め込むことができるようになっていて,空席の場合に転がったり,シートを倒すときにじゃまになったりするようなことはありません。もう一つ残念なのがヘッドレストです。調節幅がわずかしかなく(3),173cmの私でも適正位置まで上げることができません。中央席にも3点ベルト(4)が用意されているなど,かなり受動安全性向上には努力の跡が感じられるのですが,だからこそもうひとがんばりしてほしいように思います。
いろいろ見てきましたが,全体としては非常にいい車に仕上がっているという印象を受けました。富士重工というメーカー,レガシィという車に思い入れがある人は多いと思いますが,そういうのがあまりない私がみても評価できるのはまさに「進歩」というべきでしょう。さらに,4代目になってようやくコンセプトに迷いがなくなったのかなという印象も受けています。フロントのフルフラットシート廃止などにそれがあらわれているように思います。きちんと乗れてきちんと走れる車として,コストパフォーマンスの高い快作だと思います。
調査を終えて帰ろうとすると,セールス氏から「試乗プレゼントです」ということでミニカーをいただきました。その他もろもろを含めると,もらったものはかなりの点数にのぼります(左)。これをみて今回のタイトルが浮かびました。新型レガシィというのはやはり,5年に1回やってくるスバルの運命をかけた大勝負なんですね。レガシィ ◎ これで300万円なら高くない
走行距離が30,000キロを超えました。20,000キロ時点から約6ヶ月弱経過しています。2万キロまでが約9ヶ月なので,少々走行ペースが落ちています。昨年のように遠出をしなかったため,2月と3月の2ヶ月が月平均1,000キロ程度にとどまったのが原因と思われます。車自体は非常に快調です。2年点検が切れてしまったのですが,もう少し走らせてブレーキパッドも一緒に交換してしまおうかとも考えています。オイルの方も7,500キロ経過していますが,もう少し走らせようかと思っています。あくまで予定なので,気が向いたら交換するかも知れませんけど……
ところで,先日こちらのオフ会に出席した際に上のプレートをいただきました。こういう仕事をされている“ACX”さんの手によるもので,ステンレス板をウレタンニス加工したものです。タダでもらうのが申し訳ないくらいの素晴らしい仕上がりです。謹んでお礼申し上げます。
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