ZAFIRA Info --2003年1月〜

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名前の秘密

以前こちらで「ザフィーラ」という車名の辞書的な意味を調べたことがあります。その時は「サファイア」を意味するスペイン語(サフィーロ)あるいはイタリア語(ザッフィーロ)からの造語だろうという推測に落ち着きました。今回はそれに引き続き,商品名としての「ザフィーラ」はどのように登録されているのかを調べてみることにします。

現在日本で登録されている商標は特許庁の検索ページから調べることができます。ここで「ザフィーラ」という自動車の商標が登録されているかどうかがわかります。さっそく調べてみると,「ザフィーラ」ではなく「ZAFIRA」として登録されていることがわかりました。登録番号は第4272791号で,登録日は99年5月14日,出願日は97年7月11日となっています。商標の権利者はドイツのアダムオペル社です。

なお,「ZAFIRA」という商標はもう一件,時計の商標としても登録されていますが,こちらはオペルとは関係がないようです。

さて,面白いのはこの商標の呼び方が「ザフィラ」「ツァフィラ」とされていることです。「ザフィーラ」ではありません。ドイツ語の教科書では「Z」は「ツェット」と発音することになっていますから,「ツァフィラ」の方が原語に近いと言えば言えそうです。ただ,以前ドイツのニュースをみたときにはアナウンサーは「ザッフィーラ」と言っていたような覚えがありますので,カタカナ表記の「正確さ」にあまりこだわってみても意味がないような気はします。

もう一つ面白いのは,商標登録されたのは「TRAVIQ」の方が「ZAFIRA」よりも先ということです。「TRAVIQ」の登録番号は4249311号,登録日は99年2月12日,出願日は97年10月2日となっています。権利者はもちろん富士重工業です。出願は「ZAFIRA」の方が先ですが,登録は「TRAVIQ」に先を越された形になっています。なお,こちらも呼び方は「トラビック」となっていて「トラヴィック」ではありません。

2つの商標の出願と登録がほとんど同時期というのは想像を逞しくさせるところです。もしかすると,ザフィーラの開発中にすでに名前を変えてスバルブランドで発売する計画が存在していたのかもしれません。日本における「ザフィーラ」ブランドの運命は発売以前にすでに決していた……

……というようなことはおそらくあり得ず(笑),タイ産ザフィーラを売るという計画が持ち上がったときに,ヤナセ扱いのドイツ産との混同,あるいはオペルとの権利調整の手間を避けるために手持ちの商標のなかから使えるものを選んだっていうのが実際のところだと思います。車に限らず,使えそうな名前は思いつき次第(?)登録しておくというのはよくあることのようです。

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1年経ちました

私の車は登録が2002年1月29日,納車が2月1日でした。ちょうど1年を迎えましたので近況をまとめておきましょう。

外見はご覧のとおり何も変化ありません。後からつけたものといえば「盗難防止装置装着車」のステッカーだけです。特にキズもなく,納車時の姿はまずまず維持できているようです。

トラヴィックユーザーから譲っていただいたMDユニットを装着した以外,内装にも変化はありません。相変わらずカーナビもETCもついていません。

ステアリングやシフトノブにテカリなどは出ていませんが,ペダル類はさすがに距離相当の摩耗がみられます。マットの汚れ具合をみると運転のクセがよくわかりますね。右足はかかとを固定してペダルを踏みかえるので,支点になっている部分とブレーキペダルの右下,アクセルペダルの左下がよく汚れているようです。左足はいつもフットレストにのせているのでやっぱり汚れています。ブレーキペダルの方はゴムもすり減ってます(右写真)。

メーターは1月31日の撮影です。一時は年間3万kmを超えようかという勢いで走行距離が伸びましたが,秋以降は思ったほど伸びず結局27,000km弱にとどまりました。まあ,それでもよく走ったなあと思います。

1年経過を機会にホイールの掃除とタイヤのローテーションをおこないました。ホイールを洗ったのは納車以来,ローテーションは8月末の1年点検以来です。1年分のブレーキダストでホイール裏は真っ黒でした。隅の方はダストがこびりついてしまっていてどうしようもないですね。

タイヤを外したので,ブレーキの清掃とパッド残量のチェックもおこないました。ブレーキクリーナー(左)をかけて汚れを落とし,キャリパーののぞき窓(矢印で示した部分)からパッドの残りを調べます。1年点検で気になっていた後輪パッド残量は5.5mm(ピンク色の部分)でした。点検時の8mmから約1.1万km走行で2.5mm減っています。プレートの部分を加えた残量は約10mm前後と思われます。整備手帳の許容残厚はプレートを含め7mmですが,パッド部分だと2mmということになりますので,あと2.5mm分,約10,000km程度は走れそうです。前輪の方もまだ問題はないようです。また,ローターの厚みも問題ないようです。

作業終了後の写真です。さすがに疲れました。

1年間の燃費データをのせておきます。1年間で2,662リットル給油しましたので,トータルの燃費は約10km/lということになります(赤線で示しました)。前回のレポート(8月)以降は使用条件が安定し,エアコンも使わなくなりましたので燃費が安定しているのがよくわかります。傾向をつかみやすいように給油5回ごとの平均値をプロットしたものものせています。3月と5月の値は長距離走行が影響しており,7月と8月の悪化はエアコンによるものです。これを見る限り,燃費に最も影響するのは使用環境であるということがいえそうです。

給油量と燃料単価のグラフです。50リットルを超えているのは高速道路上などで2回に分けて給油したものです。4分の3を切ったあたりで給油することが多いので,1回ごとの給油量は20リットル前後が多いですね。また,秋以降の原油価格の上昇が燃料単価にも反映されていますが,最近になってまた安くなってきたようです。

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格好良さの代償

先日,トヨタからスタイリッシュな7人乗りミニバン(この表現が正しいかどうかは別として)ウイッシュ(WISH)が発売されました。好調な販売成績をあげるホンダ・ストリームのカテゴリーキラーとして一般に認知されているようです。自動車雑誌でも注目されているようですが,当サイトではカタログに現れない実力の程を調べてみることにしました。

今回発売となったのは「X」の単一グレードで,「素」(168.8万円)の仕様の他にエアロパーツやナビを装備した「X・Sパッケージ」(189.8万円)とオーディオなどを省いた「X・Eパッケージ」(158.8万円)の合計3タイプが用意されています。EパッケージはFFのみですが,他は4WDも設定されています(25万円高)。エンジンはすべて1.8リットルで,FF用の方がややパワフルにチューンされています。情報によると春頃に2リットルモデルの発売も予定されているようです。今回俎上に載せたのは「素」の「X」・FFモデルで(白い方),グレーの方は「Sパッケージ」です。

寸法を調べてみましょう。ザフィーラのほか,以前取りあげたプジョー307SW/ブレークとも比べてみます。

ウイッシュ 307SW/ブレーク ザフィーラ
全長 4,550 4,420 4,315
全幅 1,695 1,760 1,740
全高 1,590 1,585 1,675
ホイールベース 2,750 2,720 2,695
全幅/全長 0.37 0.40 0.40
全高/全長 0.35 0.36 0.39
ホイールベース/全長 0.60 0.62 0.62

この表を見ると,ウイッシュは(1)細長く(2)低く(3)ホイールベースが短いことがよくわかります。車を格好良く見せる条件である(1)(2)の点では独仏の2車を上回っています。当然このことは(3)とあいまって居住性へ何らかのしわ寄せが来ていることを予測させますね。絶対的な全長の大きさ(ザフィーラよりもなんと24センチも長い)はこのスタイルで7人乗りを成立させるための必要条件であったと解釈することもできます。

ドライビングポジションは通常の乗用車に近く,セダンからの乗り換えでも違和感はないと思われます(左)。ザフィーラと同様の,レバーを上下させるタイプのシートリフターが装着されています(矢印を書き加えてある部分)。日本車ではめずらしいのではないでしょうか。操作感もまずまずです。ペダルのレイアウトもうまくまとまっています(中)。ただ,ステアリングが上下調整のみで調整幅が狭い(右)ので,アップライトなポジションは取りづらくなります。もう少し上に向いてくれるといいんですけど。まあ,1列目に関しては大きな問題は感じませんでした。

左の写真はドライビングポジションを合わせた後の2列目の足元スペースで,真ん中の写真はその状態での3列目の足元です。3列目が若干窮屈なように見えますが,ギリギリ成立している範囲かと思われます。3列目は折り畳むという前提で2列目はもっと後ろに下げることもできます。また,2列目を一番前に出すと3列目にかなり余裕ができますが,この状態で2列目を固定することは不可能なようです(右)。

足元空間はまずまずだと思うのですが,問題なのは頭上です。3列目については,シートバックを最も起こした位置(写真の運転席側)ですと頭が天井に当たってしまいます(身長173センチの場合)。シートバックを寝かせる(助手席側)と今度はリアウィンドウに当たることになります。また,シートベルトが浮いてしまいますので,寝かせた位置では事実上使えません。

もう一つ問題なのがシートの大きさです。2列目シートバックの大きさをザフィーラと比べたのが上の写真です。シートバックの上辺の位置をみてみると,ザフィーラではセーターの襟元まであるのに対し,ウイッシュでは肩に当たるか当たらないかというところまでしかありません(シートバックのだいたいの形を青で示しました)。ヘッドレストの位置も低く,ウイッシュでは一番上にしても上辺が耳の真ん中当たりまでしか届きません。ザフィーラではヘッドレストの真ん中が耳の中心にくるよう調整することができます(さらに上に調整もできます)。またウイッシュではシートベルトスルーアンカー(緑で囲んだ部分)の上下調整もできませんので,せっかくリクライニングできても写真の位置以外ではベルトが浮いてしまいます。

シートの使い勝手をみてみます。3列目はシートバックについている輪を引けば簡単に前に倒れ,同時に座面が沈み込んでフラットになります(左)。2列目はいわゆる「ダブル・フォールディング」式で,座面を引き上げてシートバックを倒せばフラットになります(中)。2・3列目を倒すとフラットな荷室ができます(右)。このあたりの操作ロジックには無理がなく説明書を読む必要もありません。また,操作に要する力も比較的軽くてすみます。

ただ,シートの上に荷室ができることになりますので,2列目直後には大きな隙間ができます(左)。不用意にモノを放り込むと落っこちてしまいそうです。また,シートベルトの収納に工夫がみられないのは残念です(右)。一度シートを倒したら,シートベルトは床に転がったままということになるかもしれません。

さて,ウイッシュの居住性についてまとめてみると,低く長いボディのおかげで前後方向には余裕があるが,上下方向にはあまり余裕がないという見た目どおりの結論になります。また,小さめの2・3列目シートのおかげで見た目には開放感があり,シートバックを倒して長くフラットな荷室を作ることができますが,体の収まりのよさと衝突安全性に疑問が残る結果となっています。5ナンバーサイズで低く長いボディと7人乗りを両立させるのはやはり難しいですね。

装備も簡単に見ておきましょう。国産ミニバンらしく,1列目から2列目への通り抜けが簡単にできます(左)。インパネにはちゃんとシフト位置表示もあり,瞬間燃費・平均燃費・平均車速も表示されます。全グレード標準なのは偉いですね。なお水温計は省略されており,警告灯(緑で囲んだ部分)で水温の状況を知らせるようになっています(中)。スペアタイヤは床下装着で,荷物を載せた状態でも脱着が可能です(右)。

今回は試乗できませんでしたので総合的な評価は難しいのですが,乗員全員を安全かつ快適に運ぶという当サイトが考えるミニバンの必要条件からすれば,ウイッシュに合格点を与えるのは難しいように思います。カタログや雑誌の横比較では確かに魅力的ですし,そのような車選びを否定するものではありませんが,少なくともザフィーラの代替候補にはならないような気がしています。あえて判定を下すとすれば……

ウイッシュ  △  低くて長い意味がわからない

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