ZAFIRA Info --2002年2〜3月

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ヘインズのマニュアル


イギリスにヘインズという出版社があります。ありとあらゆるクルマの分解整備マニュアルをこの会社は出版しています。クルマだけでなくwashing machine,つまり洗濯機などの家電製品のマニュアルまであり貧乏人DIYの強い味方になっています。ザフィーラ用のマニュアルを先日入手したので簡単に内容を紹介しておきましょう。なお,入手先はこちらで,価格は税込みで3,741円でした。注文してからほぼ3週間で手元に届きました。洋書であることを考えると十分にリーズナブルだと思います。

スキャン画像を見ていただければおわかりのとおり,表紙絵はアストラのものです。要するに目に見えないところは共通点が多いということですね。アストラ中心の記述だろうと思って中を開けてみると予想を裏切られます。記述の中心は00年モデルのザフィーラ,それも1.8LDOHCモデルなので日本仕様とほとんど同じです。私のクルマ(01モデル)と若干異なることも予想されますが,通して読んでみた限りではほとんど同じであるようです。すごく得をした気分です。主な内容は以下の通りです。

・アストラ/ザフィーラと暮らす(日常の点検)
・メンテナンス(定期点検)
・修理とオーバーホール(エンジン・トランスミッション・ブレーキ・サスペンション・ボディ(内装と電装品))
・その他の情報

本書の中心でありもっとも利用価値が高いのは「修理とオーバーホール」の部分でしょう。重要部分の構造と解体方法が豊富な写真で説明されています。読むだけで自分で解体しているような気になってくるから不思議です。作業にはすべて5段階の難易度が表示されていますが,フロントサスペンション&サブフレーム脱着の難易度が「3」なのには苦笑しました。ちなみに「5」の作業にはATのオーバーホールがあります。エンジンオーバーホール関係には「5」はありませんでした。イギリス人はみんな機械いじりが得意なようです。

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モールをボディ色にすると

以前こちらのコーナーでザフィーラのデザインのミソは黒モールだと書きました。モールを塗った写真を自作して比較したところ,モールの存在感まで無くなっている点に問題があるとのご指摘をいただきました。そこで今回は純粋に色だけを変えてみて比較を行うことにしました。

前回モールまで塗りつぶしてしまったのはレタッチのウデが悪かったからに他ならないのですが,比較は実はそんなに難しくありません。同色モールのクルマが走り回っているからです。いうまでもなくトラヴィックです。先日こちらの催しに参加させていただいて写真を撮る機会を得ました。で,作成したのが下の写真です。

上:トラヴィック(Lパッケージ),下:ザフィーラ

ザフィーラほどの引き締まったイメージはさすがに無くなりますが,モール自体が太く幅広いのでアクセントとしては十分機能しているように思います。目立たないところでリアバンパーの上部も同色になっています(実は今気がついた)。

ところで,上記の「催し」とは私も参加しているユーザーズクラブ(Zafira Online NEtwork, Z-ONEといいます)のミーティングでした。総勢21台のザフィーラ&トラヴィックが集まりなかなかの盛会でした。あまり良い写真が撮れなかったのが残念なのですが,雰囲気だけでも伝わるでしょうか。

当日集合場所の城山湖(しろやまこ,神奈川県)です。この日はカーアンドドライバー誌の取材も受けました。
家族連れも多い落ち着いた感じのクラブです。
会場移動。前からすべて同じクルマです。圧巻。
2次会会場でも駐車場は同じクルマでいっぱい。手前のクルマは上の比較に登場しているものです。オーナーさんのサイトはこちらです。
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空気圧と乗り心地

山陰にある実家にザフィーラで帰りました。往復だけで1,400キロ,総走行距離は1,600キロにおよぶ行程にも関わらずクルマは快調に走ってくれました。単に新しいからなのかもしれませんが,長距離ドライブに供されることが多い国の出身だけあって得意種目であることは間違いないようです。

鳥取砂丘
京都市内
菩提寺PA(名神高速,滋賀県)

走行距離が3,500キロを超えましたので,このあたりから徐々にチューニングをしていこうと思います。まずはタイヤ空気圧の変更です。ザフィーラの標準指定空気圧(年式によって異なります)は軽積載時で前後ともに220(kpa,以下同じ),重積載時で前280,後320となっています。FF車の場合前軸に6割近い荷重がかかっているので,乗用車などでは前の方が高めになっているのが普通です。「up to」とありますので1人乗車でも3人乗車と同じでいいことになりますが,ザフィーラの場合はミニバンということである程度の荷物と人間が常に後部に乗(載)っていると想定されているものと思われます。

内圧の指定表

私の場合ほとんど1人で乗っていますし,車検証で確認できる範囲での前後重量配分は58:42となっていますので,乗り心地改善を目指して後輪の空気圧を10程度下げてみることにしました。これが効果てきめんで,舗装の継ぎ目で生じる上下動が明らかに小さくなりました。「ゴトッ」という音のあとの揺れがほとんどなくなり非常に快適です。しばらくはこのままで様子をみてみることにします。もうちょっと下げてみてもいいかなとも思っています。


あと,前回交換から2,600キロを経過したオイルも交換しました。色はすっかり濃くなっていますが,当然まだまだ使用できるものと思われます。前回はフィルターがタダでしたが,今回は工賃がタダだったので早めに交換しておきました。次回はもう少し間隔を開ける予定です。6,000キロ走行時くらいでしょうか。

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オペル&ザフィーラ本ミニレビュー(その1)

今日はわけあってザフィーラが手元にありません。ちょうど良い機会ですので,これまでに集めたオペルとザフィーラ関係の出版物を紹介します。


●ワールド・カー・ガイド16 オペル(ネコ・パブリッシング,1994)1,200円

誕生以来90年代前半までのオペル主要車種が写真で紹介されています。製品の視点からみたアダムオペル社史とでもいうべき書です。写真はほとんどがカラーで,とくに近年のものは見やすく資料的にも価値があると思います。3代目のカデットをみて「おっ,ジェミニじゃないか」と懐かしがる人は少なくないでしょう。時期が時期ですので残念ながらザフィーラについての記述はありません。


●世界の自動車4 オペル/ドイツ・フォード(二玄社,1973)1,000円
●世界の自動車25 ヴォクスホール/イギリス・フォード(二玄社,1974)1,000円

70年頃までのオペル・ヴォクゾール(Vauxhall)両社の主要車種を紹介した本です。ヴォクゾールはイギリスの自動車メーカーで誕生は1903年ですが,25年にGMに買収されそれ以後同社の在英拠点として機能しています。現在ではオペルが設計したクルマに自社のブランドをつけて販売しています。オペル・ザフィーラはイギリスではヴォクゾール・ザフィーラとして販売されているわけです。ほとんど同じクルマを売っているということで取り上げました。

ほぼ30年前の出版なので現在では入手が困難という欠点はありますが,両社の設立以来の歴史を客観的な文体で描いている点には好感が持てます。カーグラフィック草創期のセンスのよさが光っているとでも申しましょうか。写真も豊富(全部白黒ですが)で資料的価値も高いと思われます。


●OPEL100 1899-1999(Blitz特別版,1999?)非売品?

オペルジャパン制作の広報誌『Biltz』(ブリッツ,稲妻の意味)の特別版です。ヤナセの店頭など限られた場所でのみ入手可能だったようです。性格的には最初にあげた『ワールド・カー・ガイド』に近いのですが若干宣伝臭さを感じるのは致し方ないと思われます。その点を除けば,前ページカラーで写真も豊富にありタダで配布するのは勿体ないほどの出来です。上記3冊と読み比べてみると面白いかもしれません。


●ニューモデルマガジン・エックス No. 156, 2000. 8(三栄書房)390円
●別冊宝島567 本音のクルマ選び2001:すべて試乗!229台完全採点簿(宝島社,2001)848円

ザフィーラを好意的に紹介している書です。比較の視点や結論など非常に似通っているので一緒に取り上げました。高い評価を得ているのはパッケージングやフットワークで,難点とされているのは価格です。ただ,高いことは高いがそれに見合う価値は十分にあるという結論に(両方とも)なっています。後者は年刊になっておりトラヴィックをどう評価するか興味があったのですが,価値を維持したまま価格が下がったことで非常に高い評価を得ていました。その他,日本向けの足回り,排気量の大きくなったエンジンもプラス評価を受けていました(『本音のクルマ選び 2002』(洋泉社,2002)より)。


●モーターファン別冊 2001〜2002年最新ミニバンのすべて(三栄書房,2001)648円

トラヴィックを扱ったものとしては最も詳細なものの一つではないかと思われます。「スバル・トラヴィックのすべて」という6ページの特集が雑誌の中に綴じ込まれる形になっています。他の「〜のすべて」シリーズ同様あまりつっこんだ話はでてきませんが,新車紹介としては平均的なものではないかと思われます。


●Blitz 第22号,No.2/2000(日本ゼネラルモータース株式会社,2000)

レギュラー版のオペル広報誌です。ザフィーラ発売にあわせた特集号になっています(特集は全12ページ)。広報誌ですが有名な自動車評論家のインタビューを掲載するなど凝った作りになっています。宣伝臭さはどうしようもないですが,まあ一つの資料ということで。

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トルクレンチを使う

トルクレンチを買いました。こちらの通信販売で消費税込み約2,000円でした。例によって例のごとく精度が心配(説明書きでは±5%)ですけども,とりあえず使い方に慣れてみようというのが主な目的なのでいいとしましょう。価格も価格ですし。

黄色い矢印で示したのがトルクレンチです。ナットやボルトを決められた力で締め付けるためのものです。今回実験するのはザフィーラのホイールボルトです。ナットではなくてボルトです。国産車の場合ハブから突きだしたボルトにナットを締め付ける形で固定をおこないますが,ザフィーラの場合(欧州車はそうらしい)ハブには穴があいているだけでホイールはボルトで固定することになります。

ボルトの指定締め付けトルクは11kgf・mです。分かりやすくいいますと,ボルトに長さ1メートルのレンチをかけてその端に11キログラムの錘をぶら下げた時にうまれる回転力です。レンチの長さが半分になると必要な力は倍になります。車載のレンチは大体25センチなので40キログラム以上の力が必要ということになります。

ボルトを一旦ゆるめて規定のトルクで締め直します。力を掛けるとレンチはたわみますが,平行して設けられている指針は真っ直ぐのままです。このズレを利用してレンチにかかっているトルクを測ります。測定値は赤い矢印のところで読みとります。

写真はほぼ規定通りのトルクがかかっている状態です。レンチの長さは約50センチですので約22キログラムの力でレンチを押し下げていることになります。この写真はレンチを押していない方の左手で撮っています(危ないので真似しないでください)。要するに,ホイールボルトの締め付けに必要なのは片手で出せる程度の力でしかないということです。車載レンチでは倍の力が必要になりますが,それでも両手に力をこめて止まるまで押してやれば十分です。

車載レンチを足で踏んづけたり,もしくは両足で乗って締め付けたりすると規定トルクの倍以上の力がかかることも予想されます。締めすぎはトラブルのもとですから気をつけた方がよいようです。

あと,交換後500キロを走行しましたのでオイルのチェックも行いました。交換したばかりのころに比べて若干黒ずんでいるようですが思ったほどではありませんでした。

今回の作業場所(マンションの駐車場)です。となりはミニなんですね。ザフィーラと並ぶと小ささが際だちます。そのとなりはレガシィです。同じような長さに見えますが,実は全長は30(御指摘をうけ訂正しました)およそ40センチほどこちらの方が短いのです(点検のためにザフィーラは手前に出している)。

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販売台数を調べよう

自分の車がいったいどれくらい売れているのかって結構気になるのではないでしょうか。たくさん売れている方が嬉しい人もいるでしょうし,逆に少ないことに価値を見出す人もいると思います。ただ,よほど売れている車でない限り車名別の販売台数を知るのは困難です。わがザフィーラの売れ行きはどのくらいなのでしょうか。ヤナセかGMジャパンに聞けばわかるとは思いますが,ここでは公開されている資料だけで販売台数を明らかにできないかどうかを考えてみます。

輸入車の販売台数(登録台数)については日本自動車輸入組合(JAIA)が毎月データを公表しています。「車名別」のデータも入手可能ですが,ここでいう車名とはベンツ・VW・オペルなどのいわゆる会社名のことです。ザフィーラ単独の販売台数はわかりません。表をよく見てみますと車名の中に「スバル」とあります。スバルブランドの輸入車?と思いましたが,よく考えてみればトラヴィックしかありませんね。ですので,トラヴィックの販売台数は正確に把握できることになります。

さて,調査を進めてみますと「ヤナセ,オペル販売20万台を達成」という記事を見つけました。この中に個別ブランドごとが販売台数が載っており,ザフィーラは1,697台となっていました。しかしこれは販売開始から一昨年(2000)12月末までの話です。それ以降の売り上げに関するデータは残念ながら発見できませんでした。

そこで,次のような推計を試みてみることにしました。

  1. ザフィーラの販売開始から2000年12月までのオペル全車の販売台数を調べる。
  2. ザフィーラの販売台数を上で求めた台数で割り,販売比率を求める。
  3. 上で得られた比率を現時点までのオペル全車の販売台数に掛けザフィーラの販売台数を推測する。

オペル全車の販売台数はJAIAのデータから簡単に得ることができます。都合のいいことに普通車(3ナンバー)と小型車(5ナンバー)に区別されていますのでもちろん前者を用います。上記の方法で求めたザフィーラの販売比率は約22%となりました。この値を用いて月別販売台数をグラフ化してみました。トラヴィックの数値も載せてあります。

ザフィーラの販売台数はだいたい月100台前後という結果になりました。トラヴィックの効果を考えますと実際の台数はこれを少し下回ることになる(販売比率は前年より低下していると思われるため)かと思われます。比較のため同クラスでもっとも売れていると思われるストリームのグラフを掲載しようと思いましたが,ケタが違いすぎて見にくくなるのでやめました。ちなみに1月末までのトラヴィックの総販売台数は2,725台,同時期のストリームの販売台数は40,844台(日本自動車販売連合会)となります。やっぱり外車なんですね。なお,もし日本が100人の村だったらザフィーラ+トラヴィックオーナーは0.0042人しかいない計算になります(流行ネタで恐縮ですが)。

追記
ザフィーラ・トラヴィックの販売台数については
syamadaさんが追跡調査をされています。正確なデータをお求めの方はそちらを参照ください。

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オペルオーナーズフェスト

こんなDMが来てたので出かけてみることにしました。今日の横浜市は最高気温15度弱,冬はどこかへ行ってしまったような陽気です。お出かけには絶好のコンディションです。せっせと洗車した(ステッカーのはがれかかった)ザフィーラに乗って行ってきました。

フェア会場のお店です。ショーウィンド(左端)と壁(中左)をみればわかりますように普段はベンツのショールームですが,期間中だけはオペル車が主役です。いつもは外に置いてあるのですが,オペル車はどこに展示しても売れ行きには差がないんだそうです。それに比べるとベンツやアウディは展示場所の雰囲気作りがうるさいのだとか。それぞれの顧客がクルマに求めるものとインポーターの販売戦略の違いが垣間見えて面白いですね。

室内展示されていたのはヴィータ(中左と中右の青いクルマ),アストラクーペ(右緑矢印),アストラワゴン(右水色矢印)でした。その他屋外にヴィータ,アストラがそれぞれ数台ずつ,そしてわがザフィーラのお買い得車が一台展示されていました。もうそろそろ,ほんとに在庫も尽きてきたようです。

フェアはかなりの盛況で担当セールスさんも忙しそうだったのですが,ヴィータの最新追加グレードにちょっとだけ乗せてもらうことができました(中右写真奥,紫矢印で示した赤いクルマ)。Sportという1.2リッターモデルです。最廉価ですが元気なスポーツモデルという位置づけで,「イージートロニック」というクラッチレスMTを装備しているのが特徴です。いすずのNAVi5以来日本ではこの手の自動MTの需要は今一つですが,このクルマもやはり操作には違和感が残ります。どうせスポーツモデルなら5MTを設定してくれたほうが私は嬉しく思います。なお,「ちょっとだけ」しか乗れなかったのはナンバーがついていなかったからだったということを補足しておきます(外に出る直前に気が付いてあわてて引き返しました)。

他のザフィーラもたくさん見られるかなと思ってちょっと期待していたのですが,私の他には銀が1台,赤が1台と少々寂しい状況でした。たまたまその赤ザフィーラと並んだので写真を撮っておきました(左)。トラヴィックの赤は見たことがあるのですがSパッケージだったので,黒モール車はやはり雰囲気が違いますね。単なる偶然に過ぎませんが,私の車はヤナセに行くと赤いクルマと並んでしまうようで,納車当日にも赤いCクラスが隣にあったのを思い出しました(右)。

景品でいただいたのがこれ。「皮膚保護ムース てって」です。れっきとしたヤナセ製品です。女性限定のプレゼントなのですが,同行できなかった妻の代わりに私がもらってきました。もちろん,「妻に頼まれまして」と申し出ると快く渡していただけました。なかなかの優れもので,とくに洗車で荒れた手にはぴったりです。妻に独占させるのはもったいないですね。

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ヤナセのステッカー

比較的ヒマなこともあって,納車以来3週間のうちに6回も洗車してしまいました。最初のころは1日おきにやっていましたが,今は1週間に1回ほどになっています。やがて1ヶ月に一回,四半期に一回くらいのペースに落ち着くと思われますが,今はクルマに関わっているのが楽しくてしょうがない状態です。

洗車はいつもコイン洗車場にいっているのですが,水のかけすぎなのかヤナセのステッカーが剥がれてしまいました。半端についているとホコリをよぶので全部剥がそうと思ったのですが,残りの部分は強力にくっついていて無理でした。これが剥がれたということは,逆にいうと洗車機の水圧がいかに高いかということなのだと思います。クルマの設計の際には洗車機の比ではない水圧をかけて漏れがないよう確認していると思いますが,あまり度が過ぎるのも考えものだということでしょう。

このステッカー,ヤナセにいけば交換してくれますので早速行ってみようと思います。剥がれたステッカーは悪用されないようお店に返すことにします(本当は記念に一枚欲しいんだけど...)。

……

で翌日,オペルオーナーズフェスト(後述)に出向いたついでに交換をお願いしてみました。

記念に一枚とっておくどころか,実は,新しいステッカーは剥がした現物と交換でしか入手できないということで,私のザフィーラは現在にわか並行輸入車状態となっています。担当セールスさんは「このクルマを並行輸入する方はとてもお金持ちだと思いますよ」と苦笑してらっしゃいました。確かに,諸経費を考えると1.6リットル,エアコン・オーディオなし,窓は手動という仕様でも今回の購入価格を大きく上回ることになっていたと思われます。

追記 よく考えたら,インポーター(GMジャパン)のステッカーが貼ってあったのでした。いずれにせよ,車検証をみればどこで手に入れたかはすぐにわかるのでどうでもいい話ではあります。

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キズ消しコンパウンド磨き

払いすぎた税金を取り戻すべく確定申告にいってきました。税務署には臨時の駐車場とプレパブの受付所が設けられています。さっさと済ませて帰ろうと思ったところ書類不備を指摘されたので,ムダ足だったと悔やみつつ駐車場からザフィーラを出そうとしました。そのとき「ボコボコボコ」と音がするではありませんか。一瞬頭の中が真っ白になったことはいうまでもありません。余計なことを考えながら車を動かすとロクなことがないです。

至急車を止めて降りてチェックしてみると,区画表示用のコーンが左側面下部に接触していました。汚れを落としてよく調べてみると,車には2ヶ所ほど曇ったようなかすり傷がついています。ボディーのモールディングのおかげで全面的な接触は避けられたようです。デザイナーに深く感謝したのはいうまでもありません。

キズのアップです(緑の丸)。といっても,どこにあるのだかわからないようなものですが,光線の加減では近づくと意外に目立ちます。クリアー層だけのキズですので放っておいても大丈夫なのでしょうがまだ買ったばかりなので何とか消してみることにしました。ちなみに,1週間ほど前から出所不明のキズ(水色)もついているのですが,こちらはやや不快,もとい深いので泥沼に陥らないよう素人修理はあきらめています(こっちの方がよほど目立つのに)。

用意したのはこれ。田宮模型のプラモデル用コンパウンドです。1本150円で20グラム入ってます。粒子直径平均2ミクロンということなのでそれほど塗装面に与えるダメージはないだろうと思って起用しました。もちろんそれ以上に財布に与えるダメージも考慮してのことです。モノ自体は家にあったもので,ヤカンを磨くために購入していたものです。横にあるのは磨き・ふき取り用の化粧用脱脂綿です。1箱50円くらいだったでしょうか。

作業面を水で綺麗にしたあと,コンパウンドを多めに使ってあまり力を掛けないで磨きました。なにしろ安いのでたくさん使うのに抵抗感がありません。4〜5回磨くとキズは消えました。その後を綺麗な綿で磨いて終了です。作業時間5分ほどでしょうか。

作業後の写真です。写真ではわかりませんがもとどおりキレイになりました。下の白線の写り込み具合も良好です。それもさることながら,「ボコボコボコ」という嫌な音を思い出さなくてすむ心理的な効果が大きいですね。ついでに洗車の時に気になっていたこすりキズも除去しておきました。これでまだしばらくは新車気分が味わえそうです。

なお,模型用コンパウンドの自動車への流用については自己責任でお願い申し上げます。

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スペアタイヤのチェック

電動コンプレッサーを購入したので,これを機会にスペアタイヤの点検をすることにしました。

エアゲージ(左)とコンプレッサーです。ゲージは980円,コンプレッサーは2,480円です。多少(?)精度が心配ですがとりあえず進行します。ちなみにコンプレッサーは「冷却ファン付モーター内蔵で耐久性抜群」だそうです。まあ,故障したら新しいのを買いましょう。スペアのチェックをする前に使用中の4本のタイヤのチェックをします。フューエルリッドの裏にキャップ外し(右写真青矢印)がついていて大変便利です。4本とも空荷の際の指定どおり220(キロパスカル,以下同じ)でしたが,もう一度微調整しました。

スペアタイヤを降ろします。荷室側についているボルトをゆるめるとフック(黄色の丸)がゆるみます。十分ゆるんだところでキャリアを持ち上げて引っ張るとフックが外れます。キャリアを持ち上げるときには腰を抜かさないよう注意が必要です。フックを外しても写真のようにタイヤは外れません。赤い丸で囲んであるケーブルを外さなくてはなりません。このケーブルは値千金ですね。以前,高速道路走行中にワゴン車のスペアタイヤが外れて後続車が乗り上げた事故を身近で経験しています。このケーブルがあればそんなことにはならなかったんでしょうけど...

ケーブルを外してキャリアが地面まで降りてきたら,下のトレーごと引きずり出すとタイヤが出てきます。取り出したトレーとタイヤが左の写真です。最初,傷を付けるのをためらってトレー上のタイヤだけ取り出そうとしたのですがギックリ腰になりそうなのであきらめ,地面をずるずると引きずって引っ張り出しました。場所が場所だけに汚れていて当然なのですが,せっかくなので掃除しました(中)。サイズ・銘柄ともに使用中のタイヤといっしょです。製造時期もほぼ同じです。DOTナンバーは右後輪のみ1101,あとはスペアも含めて1001でした(右)。昨年2月末〜3月初め頃の製造と思われます。

スペアタイヤを外した後のリアサスペンション周りです。燃料パイプの取り回しがよくわかります。

内圧の調整ですが,指定空気圧は最高で320になっています(荷物・人満載時の後輪)。さすがにここまで上げるのは気が引けたので(タイヤの許容最高内圧が350),とりあえず300ちょっとにすることにしてコンプレッサーで充填しました。写真の目盛り(320くらい)まで入れて測ってみたのですが,ゲージは290を指しています。コンプレッサーの方が10%以上も高いわけです。パッケージには「あくまでも目安です」とありますがこれでは目安にもならないという感じです。まあ,このくらいでいいだろうということでタイヤを元通り装填しました。

ミニバンやワゴンの場合荷物満載時にも取り出せるよう,ザフィーラと同じようにスペアタイヤを床下につり下げているケースが多くあります。このタイプの場合,あらかじめ練習しておかないと思うように外せないことがあります。また,取り替えたタイヤの収納が不適切だと走行中に落っこちて重大な結果を招くことがあります。内圧のチェック(空気が抜けていてはシャレにならない)も兼ねて是非一度脱着してみることをおすすめします。また,固定ボルトをマメにチェックすることも必要だと思われます。

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はじめてのオイル交換

走行距離が1000キロに近づいたのでオイル交換をすることにしました。オイルの銘柄や交換時期,お得なショップなどについては諸説あるようですが,まずは素直にヤナセにおまかせしてみます。といってもサービスセンターの待合室でずっと待っているのではなく,抜かれたオイルは実際に見せてもらうことにします。

純正指定オイルはドイツのアラール社製のものです。写っているのは100%化学合成の「スーパートロニック」ですが,ザフィーラに入れるのは半化学合成の「ベーシックトロニック」です。この会社,ザフィーラを買ってから初めて知りました。どうやらオイル専業メーカーではないようで,創業100年ちょっと,ドイツ全土に2,400ヶ所のサービスステーションを持ちドイツ人の実に98%が社名を知っているという会社だそうです。「ドイツ版日本石油(いまではエネオスか)」というところでしょうか。「トロニック」というのは同社の高級ブランドオイルのようですが,ラインナップ解説がドイツ語版しかないようなのでよくわかりません。オイル代は1,500円/リットルで合計6,450円(4.3リットル)です。

「ベーシックトロニック」の品質ですが,SAE粘度は10W-40でAPIはSJ,ACEAはA3/B3になっています。説明書で指定があるのはACEA規格だけです。A3/B3のうち,Aはガソリンエンジン,Bはディーゼルエンジン用を表します。数字は大きくなるほど高性能になります。ガソリンでは3が最高(高性能車用らしい)です。ACEAはヨーロッパ自動車工業会を表すフランス語からとった名称で,ヨーロッパのメーカーであるオペルがこれを標準規格としているのはある意味では当然です。ただ,よく調べてみますとオペル(要するにGM)と欧州フォードがヨーロッパ自動車界の仲間に入れてもらえたのは1996年になってからで,このときにそれまでCCMCと呼ばれていた機関がACEAに名称を変更します。「オペル車はヨーロッパ車だぞ」と一生懸命主張しているようで微笑ましくもあります。真面目に考えると,ヨーロッパ統合進展に伴う規格統一の流れに乗っているということなんでしょうけど。

オイルを抜かれる982km走行後(自分で走ったのは950qちょっと)のザフィーラです。白で囲んでいるのが抜けていくオイルです。暗くて見にくいのですがかなり色は黒くなっています。ドレンボルトをゆるめた直後なのでまだサービスマンの手が写っています(黄色の丸)。

もう少し見やすい写真で。ドレンボルトは真下を向いてついています。なんとなくキレイに抜けそうな気がします。数分でほぼ全量が抜けましたが,今回はフィルター交換もお願いしたためさらにもう少し抜けました。ほとんど完全に抜け終わったのが上の写真です。ドレンボルトは右の写真のような形をしています。ボルトは上の部分だけで下にくっついているのはレンチです。ちゃんとボルトの頭が出ないように設計されています。

抜かれたオイルと交換されたフィルターです。色は確かに真っ黒でしたが,金属粉が混じっているような感じはしませんでした。右が新しいフィルターです。単なる金網ではなく濾紙を折り畳んでつくってあります。昨日届いたエマージェンシーキットの中に含まれていたのでタダでした。定価は1個1,300円くらいです。

新しいフィルターをケースに収めて(左)元通りに取り付けた後ボルトを締めて新しいオイルを入れます(中)。作業は正確かつ丁寧な印象を受けました。とにかく無駄な動きがありません。おまかせした甲斐があったというものです。ちなみに工賃は1,000円です。右側はオイル注入口のアップです。写っているのはカムシャフトです。砂粒でも入ろうものならオダブツですね。吹きさらしの屋外でのオイル交換はちょっと怖いように思います。

交換後のフィーリングですが,ふけ上がりが軽くなったようには思いました。ただ,これは慣らしが終わって右足に力がこもるようになったという要因の方が大きいようで,これまでと同条件下では顕著な違いは感じられませんでした。抜かれたオイルの色を見て交換を決意される方もいらっしゃるかもしれませんが,まともなオイルはすぐに黒くなって当然ですので慌てることはないかと思われます。ただ,精神衛生上のメリットは確実にあるでしょう。

私の車の場合,いろんなところを調べてみたら(といってもヒューズボックスのフタと灰皿とタイヤのDOTナンバーだけ)どうやら昨年の3月から4月にかけて製造されたらしいという結論に至りました。ということは最長の場合製造から10ヶ月以上経過しているわけで,保険の意味でも早めの交換に踏み切りました。

28km走行後のオイルの色です(左)。さすがにこの程度ではまだ汚れていないようです。ついでにATフルードもチェックしてみました(右)。まだ綺麗なピンク色を保っています。

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折り畳み自在のカーゴルームマット

これは所有してからすごさに気がつきました。ザフィーラの大きな魅力の一つは第3列のシートアレンジにありますが,それを支える存在として荷室の変化に応じて自在に大きさを変えられるマットがあります。

0(左端)が通常の5人乗りの状態です。この状態ではマットは全体を覆っています。このマットにはあらかじめ折れ目(黄点線)が入っているのがミソです。折れ目を支点にしてどちらの向きにも曲げることができます。1は荷室を最小にした状態です。マットは点線で3つ折りにすることができますので,この状態でもぴったりとフィットします。2は3列目シートの片方を収納した状態です。マットは真ん中からも折ることができますのでこの状態でもフィットします。なお,シートは床下から尺取り虫のように出てきます。ザフィーラよりシートアレンジの多彩な車は数多くありますが(フルフラットと回転対座はザフィーラにはありません),こんな使い勝手のいいマットがついている車を私は他に知りません。

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驚異の第2列アームレスト

これはもう,試乗のときにおどろきました。こんな凝ったアームレストは今まで見たことがありませんでした。アームレストとトランクスルー両方の機能をどちらも犠牲にすることなく両立しています。

0(左端)が通常の状態です。1がアームレストだけを使用している状態です。この状態から奥のハンドルを引っ張ると(水色)全体が前に倒れてトランクスルーになります。ここで面白いのは凝ったリンク機構を用いて(黄色と赤色)開口部の広さと収まりの良さを同時に実現しているところです(2〜4)。3〜4でアームレストが引き込まれてフタと一体化するさま(水色)には言葉を失いました。

それにしても不思議なのは,ここまで2列目と3列目にこだわっておきながら,1列目のアームレストがおそろしくチャチなところです。本国では標準装備ではないだけに手を抜いてしまったのでしょうか...

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ドイツ車は高品質?

「品質」ということばは曖昧で実に多くの内容を含みます。ここで取り上げたいのはいわゆる「見栄え品質」というものです。塗装がムラなく平滑であったり各パネルの隙間が小さくかつ均一であったり内装材が安っぽくなかったりとかいった自分および他人に高額支出を納得させるための要素と考えればよいでしょう。要するにパッと見て高そうに思えるかどうかということです。

白い丸で囲んだ部分をご覧下さい。これできちんと閉まった状態ですが,明らかにボディのラインよりもドアのラインの方が上にズレています。これほど極端ではありませんが,左右フロントドアも少しだけ上にズレています。

左の写真は納車後1週間,400キロ走行時のフロントタイヤの裏側です。ドイツ車らしくブレーキダストで真っ黒ですが,それは置いておきまして,タイヤの裏側に何かがこびりついてバリバリにひび割れています。よく見てみたら飛び散った防錆ワックスでした。真ん中の写真が清掃後のものです。右側タイヤはきれいになりましたが,左側タイヤは取れないワックスが残ってしまいました(右写真緑丸で囲んだ部分)。

外国車に関して,走りに関わる基本はしっかりしているが細かいところは大雑把という評価をよく耳にしますが,自分の車でしっかり確認できるとは思わなかったというのが正直なところです。まあ,水漏れはしませんし洗えばキレイになりました(走ればまた真っ黒だし)からどうということはないわけです。その他内装の部品から時々軋み音が出るのですが,これはおいおい対策していく予定です。あと,運転席のアームレストがいきなり外れましたが,きちんと元通りに直りました。

誤解の無いよう申し上げておきますが,「大雑把」というのはあくまでも製造品質(正確にいえば製造公差)であって,設計そのものは実に細かいところまで神経が行き届いています。荷室の変化に応じてフレキシブルに変形するマット(最初見たとき感動した)や第2列トランクスルーとアームレストの芸術的なリンク機構(こんな凝った肘掛けは見たことがない),頑丈なシートの留め具,調整しやすいヘッドレスト,ゴムパッキン付きの給油口蓋などあげてゆけばキリがありません。

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写真で紹介

斜め前・斜め後ろからの撮影です。まずは全体のたたずまいをご覧下さい。シンプルな造形の中にも張りがあって「筋肉質」なイメージを持っています。長さの割に幅が広いこともあって背の高さをあまり感じさせません。外国車らしい凝縮感がうまく表現されています。このボディには濃色系のカラーの方が合っていたかなあと思っています。

4面写真です。プロポーションをご確認下さい。

エンジンルームです。スッキリして日常点検はしやすいのですが,それ以上に手を入れるのは難しそうです。ファンベルトにもなかなか手が届きません。赤い丸がエアクリーナー,茶色い矢印の奥がブレーキオイル,紫色の矢印の奥がパワステオイル,緑色の丸がクーラントのそれぞれリザーブタンクです。水色の丸はウオッシャー,黄色の丸はバッテリーです。バッテリーはヒートガードにくるまれています。グレー矢印がオイル,水色矢印がATFのそれぞれ点検口です。

フロントタイヤを外したところです。フェンダー内側とシャシ下部は防錆コーティングに覆われていて塗装面は見えません。本当に「ベットリ」という感じで塗られています。ちなみに,ジャッキを当てたところはコートが剥がれてしまいました。左側の黄色い丸はエンジンとサスペンションロアアーム(右側の黄色い丸)を固定しているサブフレームです。大きく頑丈なものが使われています。白く見えているのは防錆ワックスです。タイヤは他の欧州車と同じくボルトで固定されます。ジャッキがシングルアーム式で使いにくいのも他の欧州車と同じです。なお,水色の丸はATです。日本のアイシンAW製といわれています。

右の写真はヴィータ(旧モデル)です。向きが反対になっていますが,隙間が大きくてザフィーラよりもアッサリした作りになっているのがわかります。ロワアームはボディに直接マウントされています。

リアサスペンションです。左右のトレーリングアーム(左写真赤色)の途中をつないだ(左写真黄色)「コンパウンド・クランク」(呼び名はいろいろあるようですが)というタイプです。ゴルフや最新のトヨタFF車に採用されているのと基本的には同じ形式です。水色は燃料タンクです。

右側はアップの写真です。バネとダンパー,パーキングブレーキ(赤),燃料タンクへのパイプ(紫)の取り回しなどがハッキリわかります。パーキングブレーキケーブルは低いところを通っているので注意が必要かも。スペアタイヤ(緑)は床下にぶら下がっています。ちゃんと普通のタイヤがついています(ホイールはさすがにスチール)。

運転席です。ハンドルは上下だけでなく前後に調整できます(黄色矢印)。ライトスイッチはヨーロッパ流です(緑矢印)。ヘッドライトをつけないと前後のフォグランプ(紫矢印)は点灯しません。ヒューズボックスはかなりの大きさです(水色丸で囲んだ部分)。

運転姿勢はかなりアップライトになります。といいますか,ルーズな姿勢を車が許さないという感じです。足はまっすぐ下に降ろすような感覚になります。この車に乗りますと他の車には乗れません(窮屈で)。見事なパッケージングです。このあたり,基本プロポーションは似通っていても日本車とはまったく異なります。ただ,ATセレクターとサイドブレーキはかなり低い位置にあるので確実にゆっくり操作する必要があります。

右ハンドル化はどうでしょう。紫色がアクセルペダル,黄色がブレーキペダルの大体の位置です。ペダル・ハンドルとも若干左にずれているように見えますが実際にはあまり気になりません。写真を撮ってみて驚いたくらいです。フットレストはついていませんが,センターコンソールの奥がちょうどよい大きさにえぐってあり(水色の部分),左足の置き場には困りません。なお,ステアリングシャフトは赤丸の位置で外に出ています。ひざから下はほぼ真下におりていますが,太ももは座面にぴったりとついています。それだけアップライトだということです。

ヘッドレストです。この車には後部から衝撃を受けたときに自動的にヘッドレストが跳ね上がりむち打ちを防ぐ機構が内蔵されています。そのため,通常の上下調整はシートに埋まっている部分を伸縮させるのではなく(黄矢印),ヘッドレストに埋まっている部分を伸縮させることで行います(赤矢印)。その際,ヘッドレストの上部を前側に傾けることが必要です。最初は説明書を読んでもわかりませんでした。コツさえつかめれば(上部だけを強く前に引っ張る)スムーズに調整できます。伸縮幅も十分です。

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「ザフィーラ」ってなに?

車名の「ザフィーラ(Zafira)」ですが,手近にあった英語とドイツ語の辞書の見出し語にはありませんでした。ということでおそらく造語だろうと考えたのですが,もとになっている語の見当がつきません。WWWを検索してみますとこちらのページに「そもそも"ZAFIRA"とはなんでしょうか?」とありました。お誂え向きのページだと思って喜んだのですが,オペルのザフィーラとは全く関係の無いものでした。それはともかくとしてここにはZafiraはイタリア語で「高貴な」とか「気品のある」とかいう意味だと説明してあります。なるほど,言葉の意味として適当でないことはないと思いますが,商品名としては今一つインパクトに欠けます。「美」とか「貴」とかいう名前の日本車があったとしても買おうという気になるでしょうか。

もう少しWWWを繰ってみますと,こちらのページに「(Zafiraの)意味はドイツ語でサファイア」と出ていました。もう一度辞書を引いてみますと,サファイヤは英語ではsapphire(サファイア),ドイツ語でもSaphir(ザーフィア)と綴ります。どちらにしてもザフィーラとはちょっと違います。ここでWWWをあきらめて手に入る辞書を片っ端から引いてみました。すると,スペイン語でサファイアをzafiro(サフィーロ),イタリア語ではzaffiro(ザッフィーロ)ということがわかりました。どうやらザフィーラ=サファイア由来説は真実のようですが,ドイツ語からではなくスペイン語あるいはイタリア語からの連想と考えた方がよさそうです。

スペインには大きな工場をオペルは持っていますし(コルサ(ヴィータ)のほとんどはここで造っている),イタリアにも工場はあります。そしてなにより地理的に近いこともあり,サファイアという原意をシンプルに綴れる語を採用したのだろうと思います。シンプルで響きもよくネーミングとしては良くできていると私は思っています。

では,サファイアの語源は何でしょうか。実はこれ,聖書に出てくるサッピラという人物がもとになっています。このサッピラというのはザフィーラと同じように最後がaで終わる綴りになります。さらにこの名前はもともとギリシャ語で「美しい」という意味だったそうです。ですから,語源的にいえば「ザフィーラ」には同じ意味があると考えてもよさそうです。が,......

聖書の中でサッピラは夫婦そろって土地の売買代金をごまかすという悪事を働き神に殺されてしまいます。そのことから「うそをついてはいけません」という教訓のネタにされてもいます。このへんの造詣が深い人が「ザフィーラ」という名前をみたら,これを思い出して苦笑されるかもしれないですね。

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どんな車?

オペルという会社

ドイツのAdam Opel AG(AGは「株式会社」を意味するドイツ語の略号)が提供している<コンパクトな7人乗りミニバンがザフィーラです。アダム・オペル社(以下オペル)はドイツのリュッセルスハイムに本社を置くヨーロッパで有数の自動車メーカーです。創業は1862年で,最初はミシンのメーカーとしてスタートしました。現在ではあまりピンと来ませんが,ミシンといえば当時最高のハイテク機器の一つであり,今流に言えばハイテクベンチャーのような存在だったわけですね。創業者はアダム・オペルでこれがそのまま会社の名前になっています。リュッセルスハイムはアダムの故郷でもあります。

オペルが自動車製造に進出したのは1880年代後半です。ダイムラーとベンツが手を組んで最初の自動車会社を作ったのと同時期で,本格的な自動車メーカーとして認知されるのはしばらく後になりますが,最初期にうまれた自動車メーカーの一つであることには違いありません。ちなみに日本で自動車製造が本格化するのはそれよりずっと後の1930年代になってからです。「ダットサン」などが産まれたのがそのころですね。

オペルはドイツ人の作ったドイツのメーカーとして発展を遂げました。しかし,第1次大戦後にアメリカ資本のドイツ進出が活発化しさらに経営に不安が生じたことも重なり,ゼネラル・モータース(GM)傘下に入ることをオペルは決意します。1929年のことでした。形態的にはGMの完全子会社で,GMグループの中の1ブランドとして扱われています。研究開発はGMヨーロッパ(1986年にスイスチューリッヒに設立)のコントロール下にありながらもある程度独立して行っているようです。現在,GMヨーロッパの傘下にあるのはオペルのほかボクゾール(25年:イギリス)やサーブ(98年:スウェーデン)があります。また,2000年にはイタリアのフィアットと提携関係を結びました。ということはいずれはフェラーリをオペルの工場でつくってしまったりするのでしょうか。いずれにせよ,この中ではオペルの規模が群を抜いて大きくなっています。ちなみに,同じアメリカ資本のフォードも同時期にヨーロッパに進出しています(現在の本社はイギリス)。

「ドイツ車」として認知されている中で日本で一番売れているのはフォルクスワーゲン(VW)で,その後にメルセデス・ベンツ,BMWと続きます。この3ブランドですでに50%のシェアを占めており,日本の輸入車市場はこの三大ブランドの寡占状態が続いています。オペルのシェアは第5位で約5%程度(2000年度,以下同じ)に過ぎません。しかし,ドイツ本国ではVWに次ぐ量販メーカーであり,ヨーロッパ全体での販売台数は約180万台に達します。日本におけるトヨタの年間販売台数が120万台程度ですから,少なくともヨーロッパにおいては相当に存在感のあるメーカーということができます。このあたり,日本における認識とは随分差があるのではないでしょうか。

生い立ちといま

オペルがもっとも多く販売しているのがアストラという車です。全長約4メートルの3/5ドアハッチバックを中心としたシリーズです。ヨーロッパ全体で約65万台が販売されました。VWのゴルフシリーズ,トヨタのカローラと並ぶ世界の最量販車なのです。このアストラをベースにして産まれたのがザフィーラです。両車の関係はカローラとスパシオシビックとストリームファミリアとプレマシー(などなど...)と同じです。が,これら日本車のマネをオペルはしたのではなく,メガーヌという車をベースにしてセニックというミニバンを造ったルノーの後を追ったといわれています。アストラの登場は1997年ですが,ザフィーラはそれに遅れること約2年,99年4月に販売が開始されました。ミニバンブームは日本の方が先行しましたが,ヨーロッパではこのザフィーラがブームを加速した形になり発売当初から好調な売れ行きを示しました。ヨーロッパにおける2000年の販売台数は約20万台で,アストラの約3分の1にも相当します。アストラの市場を食ったという見方もできますが,オペルを代表する車種に成長したことは間違いないようです。

ザフィーラはほとんどがドイツのボッホム(Bochum)工場で生産されていますが,タイにあるGMの子会社GMタイランド(Rayong:レイヨン工場)でも若干数が生産されています(将来はここでアルファロメオ156を生産するつもりらしい)。ドイツ工場製の製品を日本ゼネラルモータースが輸入し,ヤナセを通じて日本の消費者にザフィーラが販売されます。日本での販売は2000年4月に開始されました。当初の販売目標は2,000台/年程度であったと言われています。

2001年の夏にザフィーラの流通に一大変化が起こりました。富士重工がレイヨン工場製のザフィーラを輸入し,それに自社ブランドをつけて売ることになったのです。車名はスバル・トラヴィックでヤナセ取り扱いのザフィーラを60万円程度(約20%)下回る水準に価格が設定されました。しかもこの価格で装備レベルはトラヴィックの方がやや上です。ヤナセが設定した価格がドイツ本国の価格を大きく上回っていたわけではないのですがそもそもの原価に大きな差があったようです。トラヴィックの販売台数は現在まで目標水準(1,000台/月)には及んでいないのですが,この影響もあってザフィーラのヤナセ取り扱いは2001年をもって終了することになりました。したがいまして「ザフィーラ」というブランドも同時に消滅します。

ちなみに,ヤナセで扱っているのと同程度の仕様をオーダーすると現時点で23,000ユーロ強になるようです。現在(2/13)のレートで単純に換算すると約270万円になります。ヤナセ扱いの価格は289万円なので結構「勉強」してくれていたのかもしれません。

これまで見てきたようにオペルは量販メーカーでありザフィーラも最量販車種の派生モデルですから,なるべく低い価格で供給して量で勝負するというのはグループの方向性としては間違っていないと思います。しかし,タイ製ということでトラヴィックの品質には懸念が持たれているのも事実のようです。富士重工も導入の際にはその点を留意して品質管理の専門家を工場に常駐させるなど様々な手段を講じたようです。私自身が両車を比べた限りでは品質において何の差も感じられませんでした。というよりも,ザフィーラを購入してみるとやっぱり「量販車」だということがよくわかります。パネルの立て付けや内装部品の軋み音などの点で比較するとカローラの方がずっと上です。バックドアのチリがあわず外周のモールがずれていることもカローラならたぶんないでしょう。防錆ワックスが車両下面に塗られているのはありがたいのですが,ろくにマスキングしていないためタイヤとホイールの裏側にまでこびりついて納車時からバリバリに固まっているということも,トラヴィックならありえないかもしれません。

もちろん,ザフィーラを貶めるためにこんな事を書いているのではありません。要するに,生産地による品質の差など気にしても仕方がないということです。差がないと言っているのではありません。気にしても仕方がないと言っているのです。工業製品ですから設計図通りのものが作られるはずはなく,どこで作るにしても必ず許容誤差が設定されます。工場の技術水準によってそれは異なって当然で,それが製品になったときに品質の差につながるかもしれません。しかしそれはドイツなら生じないがタイなら生じるというものではなく,工場が違えばどこでも生じる類のもので,それを気にしていては大量生産品など購入することはできないと思います。同一メーカーが同一ブランド(日本以外の国ではタイ製でも「ザフィーラ」)で販売する以上,誤差の累積から生じる品質格差は一定の範囲内に収まっていると考えるべきでしょう。また,それこそが大量消費社会における「ブランド」の持つ意味だと思います。

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